自動車点検の整備

使用者の点検・整備の義務(車両法47条)

自動車の使用者は、自動車の点検をし、および必要に応じ整備をすることにより、当該自動車を道路運送車両の保安基準に適合するように維持しなければならない。

事業用自動車の日常点検(車両法47条の2)

自動車運送事業の用に供する自動車の使用者はまたはこれらの自動車を運行する者は、1日1回、その運行の開始前において、国土交通省令で定める技術上の基準により、灯火装置の点灯、制動装置の作動その他の日常的に点検すべき事項について、目視等により自動車を点検しなければならない。

事業用自動車の定期点検(車両法48条)

自動車運送事業の用に供する自動車の使用者は、3か月ごとに国土交通省令で定める技術上の基準により、自動車を点検しなければならない。

●近年追加された定期点検の項目(点検基準2条別表第3)

平成30年の10月の法改正により、車両総重量8トン以上または乗車定員30人以上の自動車については、定期点検項目に以下の事項が追加された。
1.スペアタイヤの取付装置の緩み、がた及び損傷
2.スペアタイヤの取付状態
3.ツールボックスの取付部の緩みおよび損傷

自動車の整備(車両法47条の2,48条)

自動車の使用者は、日常点検または定期点検の結果、当該自動車が保安基準に適合しなくなるおそれがある状態または適合しない状態にあるときは、保安基準に適合しなくなるおそれをなくするため、または保安基準に適合させるために当該自動車について必要な整備をしなければならない。

点検整備記録簿(車両法49条、自動車点検基準4条)

自動車の使用者は、定期点検整備をしたときは、遅滞なく、点検整備記録簿に点検の結果、整備の概要等所定事項を記載して当該自動車に備え置き、その記載の日から1年間保存しなければならない。

整備管理者(車両法50条、52条、53条)

1.自動車の点検・整備に関し、特に専門的知識を必要とすると認められる自動車を一定の第数以上保有している自動車の使用者は、自動車の点検・整備及び自動車車庫の管理に関する事項を処理させるため、当該自動車の使用の本拠ごとに、自動車の点検・整備に関する実務の経験その他について一定の要件を備えるものの内から、整備管理者を選任しなければならない。

2.整備管理者を選任したときは、その日から15日以内に、地方運輸局長にその旨を届け出なければならない。これを変更したときも同様である。

3.地方運輸局長は、整備管理者が道路運送車両法等に違反したときは、整備管理者を選任した者に対し、整備管理者の解任を命ずることができる。

整備管理者の権限等(車両法50条、車両法施行規則32条)

1.整備管理者を選任しなければならない自動車の使用者は、整備管理者に対し、その職務執行に必要な次の権限を与えなければならない。

①日常点検の実施方法を定めること。
②日常点検の結果に基づき、運行の可否を決定すること
③定期点検を実施すること。
④随時必要な点検を実施すること。
⑤点検の結果必要な整備を実施すること。
⑥定期点検整備の実施計画を定めること。
⑦点検整備記録簿その他の点検及び整備に関する記録簿を管理すること
⑧自動車車庫を管理すること
⑨①~⑧の事項を処理するため、運転者、整備員その他の者を指導・監督すること

2.整備管理者は、1.に掲げる事項の執行に係る基準に関する規定を定め、これに基づき、その業務を行わなければならない。

整備不良に対する整備命令(車両法54条)

1.地方運輸局長は、自動車が保安基準に適合しなくなる恐れがある状態または適合しない状態にあるとき(不正改造の場合を除く)は、当該自動車の使用者に対し、保安基準に適合しなくなるおそれをなくすため、または保安基準に適合させるために必要な整備を行うべきことを命ずることができる。
この場合において、地方運輸局長は、保安基準に適合しない状態にある当該自動車の使用者に対し、当該自動車が保安基準に適合するに至るまでの間の運行に関し、当該自動車の使用の方法または経路の制限その他保安上または公害防止その他の環境保全上必要な指示をすることができる。

2.地方運輸局長は、自動車の使用者が1.の命令又は指示に従わない場合において、当該自動車が保安基準に適合しない状態にあるときは、当該自動車の使用を停止することができる。

不正改造の禁止(車両法99条の2)

何人も、国土交通大臣の行う検査を受け、有効な自動車検査証の交付を受けている自動車について、自動車またはその部分の改造、装置の取付または取り外しその他これらに類する行為であって、当該自動車が保安基準に適合しないこととなるものを行ってはならない。

不正改造に対する整備命令(車両法54条の2)

1.地方運輸局長は、自動車が保安基準適合しない状態にあり、かつ、その原因が自動車の改造等に起因するものと認められるときは、当該自動車の使用者に対し、必要な整備を行うべきことを命ずることができる。
この場合において、地方運輸局長は、当該自動車の使用者に対し、当該自動車が保安基準に適合するに至るまでの間の運行に関し、当該自動車の使用の方法等に関し、h津幼な指示をすることができる。

2.地方運輸局長は、不正改造に対する整備命令を命じたときは、当該自動車の全面の見やすい箇所に、整備命令標章を張り付けなければならない。
何人も、張り付けられた整備命令標章を破損し、または汚損してはならず、また、命令を取り消された後でなければこれを取り除いてはならない。

3.不正改造に対する整備命令を受けた自動車の使用者は、当該整備命令を受けた日から15日以内に、地方運輸局長に対し、保安基準に適合させるために必要な整備を行った当該自動車および自動車検査証を掲示しなければならない。

4.地方運輸局長は、自動車の使用者が1.の命令や指示に従わないとき、または2.や3.に違反したときは、6ヵ月以内の期間を定めて、当該自動車の使用を停止することができる。この停止の期間の満了の日までに当該自動車が保安基準に適合するに至らないときは、当該機関の満了後も当該自動車が保安基準に適合するに至るまでの間は、これを運行の用に供してはならない。

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